事象の海綿 モデル(a,b,c,d,e,f)
2015 8
テキスト テグス サビキカゴ 針金 網カゴ 台
サイズ 可変
パイプについての連作 の続編にあたる
宣言文/イメージ
言語は引用のシステムだとかなんとか言う偉大な作家の言葉をツイ
言葉や絵が意識の像だとか言う考えもどこかの思想家が言っていた
畏れ多いことであり、かつ極めて普通のことでもあるのだろうが、
しかし、
あつかましい流域、巨大な魚はそこにいる
事象の海綿 テキスト/オブジェクト
—–
2010.3/31
踊り狂っていたあの狂騒は一体なんだったんだ、、?
あのジジイ、ほんと何者なんだ、、?
あいつ結局パイプではないとしか言わなかったんじゃないか、、?
そもそも、なんで俺はクラブになんか行った?
あの鬱屈していた気分は……そりゃあ
すっきりはしたけど、アタマが痛い……
レッドブルとフォアローゼズなんて最悪のカクテル、
、、、
だからそれはパイプじゃねえよ!酒だっつうの!
ほんと、一体何歳なんだよあのジジイは、、
踊り狂って、最後はむしろ俺の方が合わせてやって、、
結局最後うちで寝かせることになって、、
あぁ、それに、
そうだ!
それでさ、
あはは、そうそう!そうなの!
あれ?これ全然減ってないっ!!てそん時気がついた 笑
これ夜中の3時よ!立ちすくんだね、洗面台の鏡の前でさ、
2010.4/6
記述の世界に3年後の彼は落としこまれたようだ まったくもっていいご身分だ、
そりゃあ面倒な部分もある、また俺が介抱することになるわけだ、
、、また数年したら、いや?もっと早いか?そうだ、
そういえば、消化器ってのは確か体外の扱いなんだってな
そうだ、だから俺は部屋のなかにいる、
2010 4/25
ラボのメンバー達とO先生秘蔵の宝物を見せていただく、
とっておきがな、これなんだ
…え!?なんですかこれ!?
すごい、ですね、生き物、、ですかこれ?
これ持っていいんですか?
ああ、いいぞ
これな、
偕老同穴っていうんだ
偕老同穴
英名をVenusflowerbasket
環形動物、ではなく
海綿の一種
ちなみにこのへんはそのあと見せていただいたもう1人のO先生の
……まぁいい
偕老同穴だ
マリンスノーが静かにふり積もる深海の茫漠とした平原にひっそり
見るからに繊細な標本に、皆少々緊張しながらも
手に取りじっくりと眺め見る
長さ30cm直径6〜7cmくらいの円筒形、
ミイラになった海老の死骸が二匹、
文章で想像できないならイメージ検索しちゃってください
すごい、、
驚嘆
これ、生き物なんですか?
生き物なんだろうなぁ
どうしたらこんな造形になるんですか、自然物なんですよね?
あれ、これエビですか?
あ、ほんとだ
閉じ込められちゃうんですか?これ
食べられたんすかね?
どうなんだろうなぁ
赤くなってる
死ぬとやっぱ赤くなるんですね?
そこはエビなんだろうなあ 笑
可愛い!
これはつがいらしいんだよな
この中で二匹だけで一生を送るというんだ
ええ!?
絶句…
エビたちは偕老同穴の網目よりも小さいときにその中に入り込み、
こんな奇跡的な愛のかたちと、
彼女は丸まったまま変わらない表情で、
不思議かしら、こんな暮らし方って
彼女はからからに縮んだ身体で俺に語りかける。
納得してない表情ね、息苦しい生き方なんて思うのかしら、
そんな寂しい思いするくらいならこうしちゃった方がいいのよ、
人前でセックスだなんてお前、、
夫エビも乾燥しつつ真っ赤になって応える
まぁ、それはすれ違いや、言い争いなんかだってあるわけだけど、
会社でも学校でも家族なんかでもいいけど、
そのくせ私たちのこんな生き方には怪訝な表情するんだから都合い
まぁ確かに古風よ、わかるわ、
それにセックスもね
お前、だから人前でそんなこと、
でも、
それで、誰かと、
それが例え誰かから聞いた大して意味もない内容を繰り返し喋って
それにセックスも
お前、人前で、恥ずかしいよ私は、、
今の「私」にしても俯瞰してるように装って喋っているけど、
そのシンプルな循環する運動を手に入れたことで世界と私たちは初
この運動する機関が必要なのよ、私にもあなたにも
そうよ、運動は静かに熱を帯びていく
そうよ、そうなの、セックスも静かに熱を帯びて…
ラボの外では、既に日も暮れ郊外の夜は静かに更けていく
深海の暗黒は、、
若しくは、
違うな、それは安易なイメージ、決めつけたらいけないな、
そりゃあそうだ、閉じたループ、
言葉はお互いを示すだけとか言うわけでしょ?
どうかな?
そっち?どこだよそれ、形式の外なんてあるのか??
いや、もうなんでもいいよ、価値観を押し付けるんじゃないよ、
レース編みの完璧な幾何学模様の網目は掌の中、
昔はこれが夫婦円満の縁起物としても取引されてたようだな
ははぁ、確かにそういう希少感ありますねぇ。
しかし、どんな気持ちでこいつらこんなかに入るんですかねぇ、、
ちょっと、「重い」 ですよここまでいくと
ふふふ ほんとだね
俺は檻の外側から彼女に語りかける
あらためて檻に入るって?入ってるじゃない既に、
いいわよ、自覚するのは必要かもね、
硝子の構造はパイプになり、そして帽子へと形を変える
1人の俺はそれを被り、その瞬間、
銀色だった繊維の網の目はさらに細かい単位へと編みこまれ黒の、
…レディメイド?お前今度はデュシャンの言葉を真似るのか?
2013 6/7
俺はベランダに立つ彼の前に立っていた 笑いながら彼の訝しげな目に語りかける
……
……
これは、、
これはパイプではない
2010.5/3
パイプの裏側
俺はそれの裏側から表側を見ていただけだ、いや、
そもそも俺自体はそこに居たのだろうか?
蠕動する繋がった壺の対称面、
その真似事の言葉をもってまた境界から彼女に彼に向かいしゃべり
静かに立ちあがる事象の海綿、硝子繊維の網目状の構造物
俺の手の内で俺を包み込む数種の構造が組み上がる
…
サビキ釣りって言うんだよ、
サビキ?なにそれ?
この釣りの仕掛けの名前だよ、この網カゴから
この小さいエビを振り落とすじゃん?ほら
そうすると、、、きたきた!鯵じゃないかなあれは?
うわー、ほんとだね これ釣れるの?
釣れるよ、ほらきた!
僕は受け売りの知識を披露する
初夏の海風が爽やかに吹き抜ける、
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